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映画「用心棒」

この「用心棒」のポイントは、黒澤明という作り手の顔が全編に見えることではないでしょうか。冒頭の浪人の背中のアップからして、観客の視点を浪人に釘付けにする。望遠レンズの狭い視野が、この映画の独特の味わいを生みます。その強制的な語りが面白い。ヒッチコックやビリー・ワイルダーたちは、ここまで俺について来い(この言葉は1964年だけど)的な映像は作りません。もっと自然な流れで観客を引き込むんです。

浪人が宿場町に入ってきたとき、犬が手首をくわえて通り過ぎます。この裏話が特典映像にあり、とても面白かった。手首を作ったのは京都の俳優さんで大橋史典という人だそうです。冒頭でジェリー藤尾、中谷一郎と共に三十郎に斬られる役。

この人がそういう小道具を作る名人だったそうで、たまたま稲垣組で上京していて依頼を受けたらしいです。

ジャン・ルノワールがこれを見て“ダリでもこんな絵は作れない”と感心したです。

撮影が宮川一夫だというのは有名な話で、彼が望遠レンズが必要だというと東宝はすぐに買ってくれたという逸話が当時の僕にも伝わっています。大映は買わなかったのかという感じで。でもセカンドに斉藤孝雄がいて、フォーカス担当が木村大作だったとまでは知りませんでした。

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